■事業のあらまし
当社は、農業機械メーカーの専務であった父と共に現社長が独立し、ゴルフ場の芝の管理をするスイーパーの開発・製造・販売事業を開始。バブル期でレジャー産業が注目されており、ゴルフ場関連の事業に目をつけた。
その後、バブルの崩壊でゴルフ場の経営等が悪化し事業が厳しくなった。レジャー分野の市場の底浅さを感じ、やはり生活に密着した分野に関わらなければ、会社として事業や経営が不安定になると感じ、現在の主力事業である樹木粉砕機の開発をすることになった。
■樹木粉砕機のターゲット化と肥料散布器等の差別化新製品の開発
ゴルフ場向けスイーパーはニッチビジネスであるが、農業機械はライバル企業が非常に多く、収益性が高い機械ではすぐに競争が激化する。樹木粉砕機の商品のレンジは広いが、ある程度の付加価値をとれる価格帯にターゲットを絞り、ユーザーと開発のキャッチボールをしている。現在は、チップを細かくしたりすることに加え、音をいかに抑えるか、ほこりをどう抑えるかなど新たなニーズに対応をしている。
誰もが簡単にできることは付加価値が高くないので、他社とは変わったことで、付加価値が高い製品・技術開発を手がけている。例えば、肥料散布器は、これまで手作業でやっていた肥料散布を機械化したことでヒットしたものである。農業といっても需要の幅は広く、まだまだ省力化を進める余地がある。
■樹木チップの出口ビジネスなど農業・環境と機械の融合領域への挑戦
樹木粉砕機で作ったチップは、農業用の堆肥になるため、今後事業を広げたい。まだ、大きな出口が見つからないが、ノウハウをつけたビジネス展開を図る。環境・農業と機械・工業の接点を模索しながら、新たな領域での事業展開のスピード化を図るために、一緒にやっていける企業と組んで挑戦していく。環境・農業分野は、思いもがけない問題も多いが、中長期的に事業として推進している。
■全国の市場を見据え、顧客要求から販売ルートまでを徹底的に考えて技術をぶつける
業界では、良い商品があっても売れていないなど販売で失敗する例が非常に多いが、当社では、スイーパーの時代から取引先である大手農機具メーカーが幅広い事業展開を進めており、商社機能も持っていたため、全国に販売ルートを確保できた。良いものをつくっても売れなければ意味がないので販売を重視している。
顧客から何が求められているのか、どのような機械を作れば売れるのか、どのようなルートで売っていくのかということを常に意識して、お客様の要望にどのような技術をぶつけていくかを徹底的に考えている。また、研究開発と営業を集めて討論をさせ、日頃聞いていることをふまえ、開発の優先順位をつけ、具体的な担当を決めている。
■産学連携ネットワークの活用と地元佐賀としての受け皿ネットワークづくり
佐賀大学が会社の近くということもあって、県の技術開発補助を受け、共同研究を進めることになった。テーマとしては、例えば、木材関連の焼却規制は続き、今後、稲穂や麦わら、草の焼却規制も進むとみられ、それらの堆肥化等が求められるようになっている。草自体は、堆肥化しやすいが、芽を出してしまう種子があるので非常にやっかいでビジネス化が難しい状況にある。これらの課題を解決するため、佐賀大学とは、種子の発芽等をうまく抑制できないかと物理・化学的な研究を進めることになった。
佐賀大学の先生方と話す中で、粉砕の仕方によっても物性が変わることがわかった。例えば、からしを冷凍粉砕し、微粉にすると非常に辛くなる。粉砕の熱等で物性が変わるが、冷凍粉砕だとそれが変わらくなるとのことである。このように単に粉砕方法を見直すだけでも高付加価値を図ることができるという点は斬新であり、今後高付加価値化を目指した開発を進めたいと考えている。その他、植物が成長する過程で、人間の体にとって有効な成分が入っている可能性があり、それらの物質を抽出していくことも可能ではないかとみている。これらは、産学連携で1つのテーマのもとに様々な経験を持った先生方のアイデアをいただいた結果である。
また、佐賀地域として戦略的な農業のシステム作りやリーダーの育成が望まれており、様々な要望が出ているので、機械領域で何かをしたいということになれば、当社としても、地元佐賀で受け止められる受け皿ネットワークづくりにうまく関わりながら、取り組むことができればと考えている。
■研究開発と営業人材の融合等による人材育成
人材は工場に配属して、研究開発から営業、また、営業から研究開発へと異動させ、融合を図っている。研究開発だけをやっているとお客様が見えなくなってしまうが、営業をやればその顔を浮かべながら研究開発ができるようになる。
■大企業等に対抗するための防衛的な知財戦略と自社内外の意識変化を促すためのロゴの作成
農業機械等の分野は、各社とも特許をかなり出している。競合企業は、全国に販売拠点を持っているような比較的規模の大きな企業なので、特許で自分たちが開発した技術を自分たちで守る防衛戦略を重視している。特許は、4〜5件取得しており、出願中のものも多い。基本的に特許が取れない技術・製品は、手がけない。守れないような技術・製品ならばやらない方がよい。
また、長期的に社員の意識も高めて、内外の変化を促すため、今年5月から自社のロゴをデザインして活用している。
|